M3 MacBook Airの第一印象と開封
2024年3月に発売されたM3 MacBook Airを実際に購入し、約3ヶ月間使用してきました。結論から言えば、多くの人にとって「最もバランスの取れたMac」という評価に偽りはありませんが、すべての人におすすめできるわけではありません。
今回購入したのは13インチモデル、16GB RAM、512GB SSDの構成です。カラーはミッドナイトを選択しました。開封時の第一印象は「やはり薄い」ということ。厚さ1.13cmという数値以上に、実際に手にすると驚くほどスリムで軽量です。
外観とデザインの完成度
M3 MacBook Airのデザインは、M2から大きな変更はありません。しかし、それは完成度の高さを示しています。ウェッジシェイプを廃止した均一な薄さは、バックパックへの収納性を大幅に向上させています。
ミッドナイトカラーは美しいのですが、指紋が目立ちやすいという欠点があります。1日使用すると、キーボード周辺やパームレスト部分に指紋がはっきりと残ります。神経質な方はスターライトやシルバーの方が良いかもしれません。
M3チップの実際の性能:ベンチマークと体感速度
M3チップは、M2と比較して約20%の性能向上を実現しています。Geekbench 6のスコアは以下の通りです。
- シングルコア: 約3,100点(M2比+15%)
- マルチコア: 約12,000点(M2比+20%)
- GPUスコア: 約30,000点(M2比+25%)
実際の作業での体感速度
数値以上に重要なのが、実際の使用感です。私の主な用途は以下の通りです。
- ウェブブラウジング(Chrome、Safari)
- 文書作成(Google Docs、Notion)
- 画像編集(Photoshop、Affinity Photo)
- 動画編集(Final Cut Pro)
- コーディング(VS Code)
日常的なウェブブラウジングや文書作成では、M2との違いはほとんど感じません。両方とも十分に快適で、待ち時間を感じることはありません。しかし、複数のアプリを同時に開いた状態でも、動作が重くなることはまったくありません。
違いが明確になるのは、より負荷の高い作業時です。Photoshopで複数のレイヤーを持つ大きなファイルを編集する際、フィルター適用やレイヤー効果の反映が明らかに速くなりました。M2 MacBook Airでは数秒かかっていた処理が、M3では1〜2秒で完了します。
動画編集でのパフォーマンス
Final Cut Proでの4K動画編集は、M3 MacBook Airの真価を発揮する場面です。10分程度の4K映像(H.265コーデック)の書き出しを試したところ、約8分で完了しました。M2では約10分かかっていたため、20%程度の時間短縮です。
ただし、より長時間の動画編集や、複雑なエフェクトを多用する場合は、ファンレス設計の限界も見えてきます。30分以上の連続した重い作業では、サーマルスロットリング(熱による性能低下)が発生し、処理速度が若干落ちることがあります。
プロの動画クリエイターには物足りないかもしれませんが、趣味の動画編集や、たまに仕事で動画を作る程度であれば十分な性能です。
バッテリー持続時間の真実
Appleは「最大18時間のバッテリー駆動時間」と謳っていますが、これは理想的な条件下での数値です。実際の使用では、用途によって大きく異なります。
用途別のバッテリー持続時間
私の使用環境(画面輝度50%、Wi-Fi接続)での実測値は以下の通りです。
- ウェブブラウジング・文書作成: 約15時間
- 動画視聴(YouTube、Netflix): 約12時間
- 画像編集(Photoshop): 約8時間
- 動画編集(Final Cut Pro): 約6時間
- ビデオ会議(Zoom): 約9時間
軽作業中心であれば、丸一日充電なしで使えます。朝から夕方まで、カフェで仕事をする際も電源アダプターを持ち歩く必要がありません。これは大きなメリットです。
充電速度と注意点
付属の30W電源アダプターでの充電は、0%から80%まで約90分、フル充電まで約2時間かかります。67W以上の電源アダプターを使用すれば、より高速に充電できますが、体感できるほどの差はありません。
M3 MacBook Airは効率的な電力管理のおかげで、スリープ時のバッテリー消費がほとんどありません。朝100%だったバッテリーが、夜には98%になっている程度です。
ディスプレイ品質:Liquid Retina vs 競合機種
M3 MacBook Airは13.6インチのLiquid Retinaディスプレイを搭載しています。解像度は2560×1664ピクセル、最大輝度500ニト(標準時)です。
色再現性と視認性
ディスプレイの色再現性は非常に優れています。P3広色域に対応しており、写真編集や動画編集でも正確な色を確認できます。実際にカラーキャリブレーターで測定したところ、sRGBカバー率99%、DCI-P3カバー率96%という結果でした。
屋外での視認性も良好です。日中の明るいカフェのテラス席でも、画面の内容をはっきりと確認できました。ただし、直射日光下では若干見づらくなるため、完璧とは言えません。MacBook Proの600ニト(標準時)、1000ニト(HDRピーク)には及びません。
ProMotion非搭載の影響
M3 MacBook AirはProMotion(可変リフレッシュレート)に対応していません。固定60Hzのリフレッシュレートです。MacBook Proの120Hzと比較すると、スクロールの滑らかさやアニメーションの自然さで差を感じます。
ただし、これは両方を並べて比較した場合の話です。M3 MacBook Air単体で使用している限り、不満を感じることはありません。むしろ、60Hzでも十分滑らかだと感じます。
キーボードとトラックパッド:入力デバイスの使用感
Magic Keyboardの完成度
M3 MacBook Airは、改良されたMagic Keyboardを搭載しています。キーストロークは約1mm、タイピング感は確実で心地よい反発があります。長時間のタイピングでも疲れにくく、1日に5000字以上の文章を書いても指や手首に負担を感じません。
キーボードバックライトは12段階で調整可能で、暗い環境でも快適にタイピングできます。ただし、TouchBarは非搭載で、従来のファンクションキーが並んでいます。個人的にはこの方が使いやすいと感じます。
トラックパッドの広さと精度
トラックパッドの面積は非常に広く、13インチモデルでも快適な操作が可能です。Force Touch対応で、圧力感知によるさまざまな操作ができます。
精度も素晴らしく、細かいカーソル操作も正確に行えます。Photoshopでの細かい選択作業や、図面作成でも不満はありません。外付けマウスなしでも、ほとんどの作業を快適にこなせます。
発熱と冷却:ファンレス設計の限界
M3 MacBook Airの最大の特徴の一つが、ファンレス設計です。冷却ファンがないため、完全に無音で動作します。これは図書館やカフェなど、静かな環境での作業に最適です。
通常使用時の温度
ウェブブラウジングや文書作成など、軽作業時の本体温度は30〜35度程度です。キーボード面がほんのり温かく感じる程度で、不快感はまったくありません。膝の上に置いて使用しても問題ありません。
高負荷時の発熱
動画編集や画像編集など、高負荷な作業を行うと、本体温度は45〜50度まで上昇します。キーボード上部、特にディスプレイに近い部分が熱くなります。不快ではありませんが、明らかに熱を感じます。
30分以上連続して重い処理を行うと、サーマルスロットリングが発生します。Geekbenchのマルチコアスコアが、初回の12,000点から10,000点程度まで低下することもあります。約20%のパフォーマンス低下です。
対策とおすすめの使い方
ファンレス設計の限界を理解し、適切に使用することが重要です。以下の対策が効果的です。
- 重い作業は複数回に分けて行う
- ノートPCスタンドを使用して底面の通気を確保
- 室温が高い環境では負荷の高い作業を避ける
- 連続した動画書き出しは避け、間に休憩を挟む
ポート構成と拡張性
M3 MacBook Airのポート構成は以下の通りです。
- Thunderbolt 3/USB 4ポート × 2
- MagSafe 3充電ポート × 1
- 3.5mmヘッドフォンジャック × 1
実用上の問題点
Thunderbolt 3ポートが2つあれば、多くの周辺機器を接続できます。私は通常、1つを外付けSSD、もう1つを外部ディスプレイに使用しています。MagSafe 3で充電できるため、Thunderboltポートを充電に使う必要がないのは便利です。
ただし、複数のデバイスを同時に接続する場合、USBハブやドッキングステーションが必要になります。特に、外部ディスプレイ、外付けストレージ、キーボード、マウスなどを同時に使用する場合は必須です。
外部ディスプレイ対応
M3 MacBook Airは、最大6Kの外部ディスプレイ1台をサポートします。実際に4Kディスプレイを接続して使用しましたが、まったく問題なく動作します。60Hzでの出力も安定しており、動画編集時も快適です。
ただし、2台以上の外部ディスプレイを接続したい場合、M3 MacBook Airでは不可能です。マルチディスプレイ環境が必須の方は、MacBook Proを選ぶべきです。
スピーカーとマイクの品質
4スピーカーシステムの実力
M3 MacBook Airは、4つのスピーカーとDolby Atmos対応の空間オーディオを搭載しています。ノートパソコンとしては非常に高品質な音質です。
音楽鑑賞では、低音から高音までバランス良く再生されます。Spotifyで様々なジャンルの音楽を聴きましたが、ジャズのベースライン、クラシックのバイオリン、ポップスのボーカルなど、すべて明瞭に聞こえます。
映画やドラマの視聴でも満足できる音質です。Netflix、Amazon Prime Videoで映画を視聴しましたが、セリフが聞き取りやすく、効果音も迫力があります。ただし、本格的な映画鑑賞には外付けスピーカーやヘッドフォンの方が良いでしょう。
3マイクアレイの性能
M3 MacBook Airは、スタジオ品質の3マイクアレイを搭載しています。Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなどでのビデオ会議で使用しましたが、音声のクリアさは素晴らしいです。
環境ノイズの除去も優れており、エアコンの音や交通騒音がある環境でも、相手にクリアな音声を届けられます。外付けマイクなしでも、プロフェッショナルな印象を与えられます。
M2 MacBook Airとの比較:買い替える価値はあるか
M2 MacBook Airから買い替える価値があるかは、使用目的によります。
性能向上の実感
ベンチマークスコアでは約20%の性能向上ですが、体感できる場面は限られています。
- ウェブブラウジング、文書作成: 差はほとんど感じない
- 画像編集: フィルター処理などで少し速い
- 動画編集: 書き出し時間が15〜20%短縮
- ゲーム: グラフィック性能向上により滑らかに動作
買い替えをおすすめできる人
- 動画編集を頻繁に行い、書き出し時間を短縮したい人
- 最新のゲームを快適にプレイしたい人
- M2を持っておらず、新たに購入を検討している人
買い替えを待つべき人
- M2 MacBook Airで現在不満がない人
- 軽作業中心で、性能向上の恩恵を受けにくい人
- 予算を抑えたい人(M2の価格が下がっている)
競合機種との比較
MacBook Pro 14インチ vs MacBook Air M3
約20万円の価格差がありますが、以下の点で異なります。
| 項目 | MacBook Air M3 | MacBook Pro 14インチ |
|---|---|---|
| チップ | M3(8コアCPU) | M3 Pro/Max |
| 冷却 | ファンレス | アクティブ冷却 |
| ディスプレイ | Liquid Retina(500ニト) | Liquid Retina XDR(1000ニト) |
| バッテリー | 最大18時間 | 最大22時間 |
| 重量 | 1.24kg | 1.55kg |
MacBook Proは、プロの動画編集者や3Dデザイナーなど、持続的な高負荷作業を行う方に適しています。一方、MacBook Air M3は、携帯性と十分な性能のバランスを求める方に最適です。
Windows競合機種との比較
Dell XPS 13、HP Spectre x360、Lenovo ThinkPad X1 Carbonなどが主な競合です。これらと比較したM3 MacBook Airの優位点は以下の通りです。
- バッテリー持続時間が1.5〜2倍長い
- ファンレスで完全に無音
- macOSとのシームレスな統合
- トラックパッドの精度と使いやすさ
- リセールバリューの高さ
逆に、Windows機の優位点は価格とカスタマイズ性です。同等のスペックなら、Windows機の方が3〜5万円安いことが多いです。
おすすめの構成とカスタマイズ
メモリ(RAM)の選択
メモリは最も重要なカスタマイズ項目です。基本構成の8GBでは、複数のアプリを同時使用する際にメモリ不足を感じることがあります。
- 8GB: ウェブブラウジング、文書作成のみの軽作業
- 16GB: 画像編集、軽い動画編集、プログラミング(推奨)
- 24GB: 本格的な動画編集、大規模なプロジェクト
個人的には、長期使用を考えると16GBが最適だと思います。macOSのアップデートにより、将来的により多くのメモリが必要になる可能性があります。
ストレージの選択
ストレージは外付けで補えるため、メモリほど重視しなくても良いですが、以下を目安にしてください。
- 256GB: クラウドストレージ中心で、ローカルファイルが少ない人
- 512GB: 写真、動画を適度に保存する人(推奨)
- 1TB以上: 大量の4K動画や写真ライブラリを保存する人
私は512GBを選択しましたが、現時点で約200GB使用しています。余裕があり、今後数年は問題なさそうです。
カラーの選択
4色(ミッドナイト、スターライト、シルバー、スペースグレイ)から選べます。
- ミッドナイト: 最も美しいが指紋が目立つ
- スターライト: 明るく柔らかい印象、指紋も目立ちにくい
- シルバー: 定番で飽きが来ない
- スペースグレイ: プロフェッショナルな印象
見た目で選んで問題ありませんが、指紋が気になる方はミッドナイトは避けた方が無難です。
実際の使用シーン別評価
大学生・学生の使用
評価: ★★★★★(5/5)
大学生にとって、M3 MacBook Airはほぼ完璧な選択です。講義ノートの作成、レポート執筆、プレゼン資料作成、オンライン授業など、すべてを快適にこなせます。バッテリーが長持ちするため、図書館やカフェで一日中勉強できます。
重量も1.24kgと軽く、毎日持ち運んでも負担になりません。価格は高いですが、4年間使用すると考えれば、十分に価値があります。
ビジネスパーソンの使用
評価: ★★★★☆(4/5)
ビジネス用途でも高く評価できます。Office 365、Slack、Zoom、Google Workspaceなど、ビジネスツールはすべて快適に動作します。プレゼンテーション、データ分析、メール対応など、日常業務に不満はありません。
減点理由は、外部ディスプレイが1台しかサポートされないことと、一部の業務用ソフトウェアがmacOSに対応していないことです。Windows必須の業務がある場合は注意が必要です。
クリエイターの使用
評価: ★★★☆☆(3/5)
趣味レベルの創作活動や、たまに仕事でクリエイティブな作業をする程度なら問題ありません。しかし、プロのクリエイターが主要マシンとして使うには力不足です。
30分以上の4K動画編集、複雑な3Dモデリング、大規模な画像処理などでは、サーマルスロットリングにより性能が低下します。本格的なクリエイティブワークには、MacBook Proをおすすめします。
プログラマー・開発者の使用
評価: ★★★★☆(4/5)
Web開発、モバイルアプリ開発、データサイエンスなど、多くの開発作業を快適に行えます。Xcode、VS Code、Docker、仮想マシンなども問題なく動作します。
ただし、大規模なプロジェクトのビルドや、複数の仮想マシンを同時に動かす場合は、16GB以上のメモリが必須です。また、長時間のコンパイル作業では、ファンレス設計の限界を感じることがあります。
購入をおすすめできる人・できない人
購入をおすすめできる人
- 携帯性と性能のバランスを重視する人
- バッテリー持続時間を重視する人
- 静音性を重視する人(カフェや図書館での作業)
- macOSエコシステムを活用している人(iPhone、iPad、Apple Watch)
- 軽〜中程度の動画編集や画像編集をする人
- プログラミング学習や軽いアプリ開発をする人
- 予算が20万円前後で、長く使えるノートPCを探している人
購入をおすすめできない人
- 本格的な動画編集(1時間以上の4K動画など)を行う人
- 3D CADや3Dレンダリングを頻繁に行う人
- 複数の外部ディスプレイが必須の人
- Windows専用ソフトを使用する必要がある人
- ゲーミングPCとして使いたい人
- 予算を最優先する人(M2 MacBook AirやWindows機がコスパ良い)
よくある質問(FAQ)
Q1: M3 MacBook AirとM3 MacBook Proの違いは何ですか?
A: 主な違いは、チップ(M3 vs M3 Pro/Max)、冷却システム(ファンレス vs アクティブ冷却)、ディスプレイ(Liquid Retina vs Liquid Retina XDR)、ポート数、バッテリー持続時間です。持続的な高負荷作業にはProが適していますが、一般的な用途ではAirで十分です。
Q2: 8GBメモリで十分ですか?16GBにすべきですか?
A: 軽作業のみなら8GBでも問題ありませんが、長期使用を考えると16GBをおすすめします。画像編集、動画編集、プログラミングを行う場合は16GB必須です。メモリは後から増設できないため、慎重に選んでください。
Q3: ゲームはできますか?
A: Apple Arcade、Steam、Epic Gamesなどの


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